徳島県祖谷地方は、その山深さから、平家の落人が追っ手から身を隠したという伝説が残る秘境の地。今も名残を伝える名所があり、その象徴的存在が「祖谷のかずら橋」だ。
祖谷川に架かる長さ45m、幅2mの吊り橋で、追っ手から逃げるためにいつでも切り落とせるよう、シラクチカズラという植物で編まれている。実際に渡ることができ、渡し木の間は片足がすっぽりはまってしまうほど間隔があり、一歩踏み出すごとに橋がゆらゆらと揺れ、思わず足がすくむほどのスリルが体感できる。
春は山藤、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色。橋に彩を添える四季折々の景観は、ため息がこぼれるほど美しい。
山深い秘境の地・祖谷には、今も郷土の味がしっかりと息づいている。そのひとつが「祖谷そば」。つなぎをほとんど使わないため、蕎麦の香りが高く、ポツポツと切れやすいのが特徴で、めでたい席や珍客の時にふるまわれていた祝い料理だ。
祖谷そばを提供する飲食店は多いが、なかには手打ち体験ができる施設も。「古式そば打ち体験」では、石臼で蕎麦の実を挽き、粉をこねて生地を作り、カットして茹でるまでを楽しめる。体験後には、近隣でとれた山菜やジビエなどを使った手作り総菜も付いた「平家御膳」と一緒に、打ち立て、ゆでたての蕎麦をゆっくりどうぞ。
祖谷の周辺に位置する大歩危・小歩危エリアは、自然美を存分に体感できる名所が点在する。なかでも「大歩危峡」は、1億年もの時を経て浸食された巨岩・奇岩が5kmにわたって続く渓谷で、大歩危を代表するビュースポット。遊覧船も出航し、渓谷美を間近に見ることも。エメラルドグリーンに輝く川面の美しさも格別で、次から次に奇岩が現れる自然のショーに圧倒される。
またこの地域は、良質な温泉が湧く温泉郷。風情ある温泉宿が点在し、その多くで日帰り入浴が楽しめる。数ある中で人気が高いのが、ケーブルカーで行く谷底の露天風呂で有名な「和の宿ホテル祖谷温泉」。乳白色でとろみがある湯は、源泉かけ流し。目の前には祖谷渓の断崖絶壁が広がり、秘湯と呼ぶにふさわしいロケーションで名湯を堪能したい。
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(2018年3月時点の情報です)