中世期の日本を訪れた、ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが「日本最大の海賊」と称した村上海賊。島々を本拠地に、瀬戸内海のほぼ全域を支配した村上氏は大きく三家に分かれ、そのうち能島村上氏は今治市大島沖の能島に拠点を構えた。大島沖に浮かぶ周囲1kmにも満たない能島を城郭化し、その力を示したという。「海賊」というと、理不尽に船を襲い金品を略奪する無法者がイメージされるが、当時の村上海賊は通行料を徴収する見返りに、水先案内、海上警固などの重要な役割も果たしていた。「村上水軍」と呼ばれることも多いが、それは戦時に軍事勢力として活躍した村上海賊のひとつの側面に過ぎない。
そんな彼らの活躍の足跡に触れることのできる『今治市村上水軍博物館』は、村上海賊伝来の貴重な品々を展示し、史実に基づいた歴史ロマンを感じさせてくれるミュージアム。「海の大名」とも呼ばれ、海原を自在に駆け巡った勇猛果敢な海賊たちの息遣いが聞こえてくるような展示は見ごたえ十分。展望デッキから眺められる「能島城址」をはじめとした瀬戸内の景色も美しく、歴史に思いを馳せながら眺めると、より感慨深く感じられる。(2018年3月時点での情報です)
「色々威腹巻」(左)と「猩々陣羽織」(中)(ともに今治市村上水軍博物館保管)。能島村上家伝来の至宝は必見!
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