歴史ある神社がいたるところに鎮座し、太古から神話が脈々と息づく島根県出雲市。その中心として、壮大なスケールで迎えてくれるのが「古事記」にその創建が記されている出雲大社だ。御祭神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。「国譲り神話」の神として、縁結びの神・福の神として広く知られている。
神域の入口「勢溜(せいだまり)の大鳥居」をくぐると、神殿までまっすぐ伸びる参道が。大樹がそそり立つ参道を抜け、樹齢数百年という松並木の参道を歩いていると、あたりに満ちた凛とした空気に自然と気持ちが引き締まっていく。手水舎で手と口を清めたら、大きな注連縄が印象的な拝殿へ。出雲大社の正しい参拝作法、2度拝礼し4回柏手を打ち最後に一礼する「二礼四拍手一礼」にならい参拝したら、いよいよ大国主大神を祀る勇壮な御本殿へ向かう。御本殿は、日本最大にして最古の神社建築様式で、国宝にも指定。禁足地である御神山・八雲山を背に建つその威容は、参拝者の心を打つ荘厳な雰囲気に満ち溢れている。
参拝後は神門通りの散策へ。『STARBUCKS COFFEE 出雲大社店』では、「勢溜の大鳥居」を眺めながらひと休憩できる。出雲大社の注連縄をモチーフにした照明や切妻屋根をイメージさせる天井、「ご縁」が生まれるように設置された勾玉形のコミュニティテーブルなど、コンセプトショップならではの意匠やインテリアにも注目。参拝の余韻に浸りながらくつろぎたい。
神話にも登場する縁結びの象徴的存在・うさぎをモチーフにした限定グッズや島根の特産品など、こだわりのお土産品を購入できる人気の『えすこ』。「出雲型勾玉」の専門店が直営するショップゆえ、2階では好きな天然石を選んでオリジナルのアクセサリーを作る「こしらえ体験」(1000円~、予約優先)も行っている。金運や恋愛運など一つひとつパワーを持つ天然石を使い、想いを込めて作る体験は、出雲旅ならではの思い出となりそう。
散策でお腹が空いたら、名物「出雲そば」の老舗へ。「出雲そば」の歴史は古く、寛永15(1638)年、そば処・信州松本から松平直政が藩主として着任した際に、信州の蕎麦職人を伴ったのがきっかけといわれている。その後、出雲大社の参拝客の旅の愉しみとして全国にその名が広まったとか。「出雲そば」最大の特徴は、色の黒さと高き香り。通常ソバ粉を作るには、殻を除いたソバの実を挽くが、「出雲そば」は殻付きの玄ソバをそのまま製粉するため、より蕎麦本来の風味をがつんと感じられる。また、冷たい「割子」と温かい「釜揚げ」があり、それぞれに異なる愉しみ方ができるのも特長のひとつだろう。丸い3段の器に盛られた冷たい蕎麦に、つゆをかける「割子そば」は、松江の風流人の集まり「連」の人たちが外で蕎麦を食べられる弁当にしたのが起源といわれる。(写真の『荒木屋』の「割子三代そば」1090円)
創業230年、数ある「出雲そば」屋の中で最も古い歴史を持つ『荒木屋』八代目店主・浜村裕昭さんは、「出雲そば」を作り続ける難しさをこう語る。「歴史ある食文化だからこそ、同じものを同じように作り続けていては『後退』になる。代々の味への責任は重いが、変化させている」。蕎麦と真摯に向き合う職人によって、代々守られ続けてきた「出雲そば」を、その思いを感じつつじっくりと味わいたい。
MAP
MAP
MAP
MAP
(2017年12月時点の情報です)