岡山県西北部に位置する新見市は、中国山地に抱かれた山間の街。市の南部はカルスト台地が広がり、多くの鍾乳洞が点在する。
その代表的なスポットのひとつが『満奇洞(まきどう)』。全長約450mの洞内は、雨水などが長い年月をかけて作りだした壮大な自然の造形美が広がる。道中は、天井が低く屈んで歩いたり、広大な地底湖があったりと変化に富んでおり、「つらら石」「リムストーン」など、大小さまざまな鍾乳石や石筍が見事な景観を作りだしている。要所には色彩豊かなライトアップがあり、青や緑、紫など刻々と変わる光に照らされ、なんとも幻想的な世界に。歌人・与謝野晶子が「奇に満ちた洞」と詠ったのが『満奇洞』といわれる由来。人々を惹きつけてやまない幻想的な世界を覗いてみては。
洞内を360°リアルに体験できる5か国語に対応したバーチャルリアリティーサイトを公開中。
https://secure.panoramic.graphics/publicvr/makidou/
『満奇洞』すぐそばの『満奇洞観光ドライブイン』では、ご当地名物「元祖バクダンキャンディー」(1本200円)が人気。カラフルな氷菓子は、イチゴやソーダなど全8種類。現在販売している場所は県内でもごくわずかで、これを目当てに訪れる人も多い。先端をハサミで切って渡してくれるので、吸うような感じで食べよう
西日本を代表する鍾乳洞のひとつ『井倉洞』の入口は、高梁川沿いにそそり立つ約240mの断崖絶壁にある。川にかかる橋から絵画のような峡谷美を眺めながら洞内へ。全長1200m、高低差90mというアップダウンのある道を進むと、無数の鍾乳石や「銀すだれ」「水衣」などと名付けられた約30もの奇石や怪石が次々と現れる。悠久の時を経て作られた自然の芸術は見るほどに奥深く、冒険心や好奇心をかきたてるものばかり。洞内は3つの滝があり、中でも約50mという国内最大落差を誇る「地軸の滝」は圧巻。こだまする轟音、洞窟内とは思えないそのスケールに、改めて自然の偉大さを感じさせられる。
新見ICから車で約30分。緑深い山間に、隆盛する日本ワインシーンで一目置かれる気鋭のワイナリーがある。屋号の「ドメーヌ」とは、フランス語で、自家栽培のブドウを使い、醸造・熟成・瓶詰めまで一貫して行うワイナリーのこと。新見市哲多町に広がる石灰岩土壌、寒暖差のある気候、日照時間など、フランスの銘醸地と似た稀有な環境でブドウを栽培し、ひたむきにワイン造りに挑み続けている。
ワイナリーにはカフェも併設。広大なブドウ畑を眺めながらワインや料理を愉しむ贅沢なひと時が過ごせる。料理の主役は、シェフ自ら吟味した地元の食材や、自家菜園で育てた採れたての素材。新見の風土が育む力強い滋味が、ワインに息づくテロワールと響き合う。
新見市千屋の里山に佇む、一日一組限定の古民家の宿。戸を開けると、100年という歴史と情緒が息づく空間が広がり、笑顔あふれる鈴木夫妻が温かく迎えてくれる。食事は、重厚な梁と囲炉裏がある部屋へ。みずみずしい旬の野菜や山菜、もち米「ヒメノモチ」など、地元の恵み尽くしの郷土料理はどれも味わい深く、心と体にじわりと染みわたる。メインは、地元ブランド牛・千屋牛の炭火焼。肉厚で、きめ細やかな霜降りの千屋牛を主人が目の前で豪快に焼き上げてくれる。新見の日常に触れ、暮らすように過ごせる心地よい時間が、訪れる人々の心をゆっくりと解きほぐしていく。
夏の夜を美しく照らしてくれる日本の風物詩・ホタル。高梁川の源流を有する自然豊かな新見市には、ホタルを鑑賞できる名所がいくつもある。圧巻は、全国的に珍しい陸性ホタルで岡山県天然記念物に指定されている「金ボタル」の舞い。黄金の光を発することから名前を付けられた小型のホタルで、和名を「ヒメボタル」という。光る間隔が1秒ほどと短く、静まり返った漆黒の森で星のように輝く様子は、息を飲むほど美しい。この幻想的な光景が見られるのは、7月上旬のわずか10日間ほど。命の瞬きともいえる美しく儚い金ボタルの舞いをひと目見ようと、世界中から観光客が訪れている。
新見の観光にはJR新見駅発着の予約型観光タクシーが便利。予約・問合せは新見市観光協会(TEL:0867-72-1177 メール:n_kankouk@yahoo.co.jp)
http://niimi.gr.jp/info/info_detail/index/29.html
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(2020年11月時点の情報です)