瀬戸内海に浮かぶ因島に拠点を置いた、かつての海賊・因島村上氏は、中国地方の覇権を握った毛利氏の海上勢力として活躍。特に6代当主・村上新蔵人吉充は、1576年の木津川口海戦で毛利警護船団の一翼を担い、織田信長率いる織田水軍を壊滅させ、毛利氏の勝利に大きく貢献した。
島にはその村上氏の隆盛を示す多くの遺跡や文化が残っている。海城であった青木城跡、長崎城跡、馬神城跡などには、航行する船を見張る「見張り場(郭)」や、船を隠しておく「船隠し」、船をつなぎとめておく「岩礁ピット」など海城に特徴的な跡が見られる。
『因島水軍城』は、全国でも珍しい城型の資料館で、村上海賊の武具や遺品などの歴史資料を展示。軍船や大阿武船の模型や軍旗、甲冑や兜など、貴重な資料や展示の端々から彼らの威光を身近に感じられる。ふもとにある菩提寺の『金蓮寺(こんれんじ)』には、村上氏やその家臣たちの墓とされる院塔や五輪塔などが所狭しと集積し、往時の栄華を今に伝えている。ほかにも、出陣や帰陣のときに踊ったとされる「法楽おどり」が受け継がれたり、先人を感謝する「因島水軍まつり」が開催されていたりと、自由で勇猛果敢な精神は今も島人に継承されている。(2018年3月時点での情報です)
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