緩やかな坂道の先で目に飛び込んでくるのは、滝と奇岩の織りなす風景。春は桜、夏は青葉、秋は紅葉…。季節ごとに異なる趣を漂わせるこの地は、かつて竹久夢二も滞在した6000坪もの旧別荘地。その入り口近く、巨石の上に築かれた店内に身を置くと、自然の造形美と絶えることのない水音に、疲れた心がやんわりと癒やされていくよう。
メニューは、信州の蕎麦粉を用いた更科風の二八蕎麦が主役の「今月の定食」1400円のみ。「固定概念を変えるような味わいを提供したい」。そんな思いを抱く店主の大渕博文さんは、定番の「醤油つゆ」とともに、洋の東西を問わぬ独創的なつゆを月替わりで用意する。「蕎麦はさっとすすって、さっと帰るのが粋だが、ここではのんびり寛いでほしい」と、あえて定食で提供する心配りもうれしい。趣あふれる贅沢な空間で、心ゆくまで蕎麦の滋味と香りを楽しみたい。(2018年3月時点の情報です)
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