穏やかな瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、国産オリーブ発祥の地として有名な島。日本三大渓谷美のひとつ『寒霞渓』に代表される景勝地、雨の少ない温暖な気候が育む豊かな食、そして日本の原風景ともいえる里山に息づく四季折々の自然美。小豆島には、心を揺さぶる景色や出合い、新しい発見がたくさん待っている。
香川県・高松港や岡山県・宇野港からフェリーで約60分。船が進むにつれ、のどかな海原に無数の小島が点々と浮かぶ瀬戸内海ならではの絶景が目の前に迫ってくる。岡山から出航する両備フェリー「おりんぴあ どりーむ」の展望デッキには、なんと足湯を完備。潮風を感じ、多島美を眺めながら湯に浸るひと時は非日常そのもの。日々の疲れが浄化されていくと同時に、島旅への期待がどんどん高鳴っていく。
小豆島旅のハイライトといえば、この『道の駅 小豆島オリーブ公園』。瀬戸内海を見下ろす小高い丘に建つ真っ白なギリシャ風車、約2000本のオリーブ畑が広がる風景は、まるで地中海を旅しているかのよう。小豆島のシンボルともいえる景色を堪能したら、実写版映画『魔女の宅急便』のロケセットをそのまま移築した『雑貨コリコ』へ。オリジナルの雑貨から土産を探したり、映画の世界観に浸りながら愉しめる。園内を散策していると黒猫のジジそっくりな猫にばったり、なんてうれしい遭遇も。映画のワンシーンのような景色や出合いの連続に、思わず笑顔がこぼれそうだ。
園内では、小豆島の特産品・オリーブオイルの魅力を発信するカフェ『オリヴァス』や島のご当地メニューや園内のハーブガーデンで栽培される約120種類のハーブから作られるハーブティーも充実するレストラン『サン・オリーブ』など、目と舌で地元の食を堪能できる飲食店も完備。オリジナルオイルと小豆島の醤油をブレンドする体験やマグネット作りなど、ハーブやオリーブを使ったクラフト体験もあり、知識や好奇心を満たしてくれる。体験内容は季節によって異なるので、HPで確認してから参加を。
豊かな自然や美しい風景が広がるこの島には、映画やドラマの撮影が行われたロケ地も点在。なかでも有名なのが、映画『二十四の瞳』の撮影セットがそのまま残る「二十四の瞳映画村」だ。舞台は、古き良き時代の日本を象徴する昭和初期。映画館「松竹座」では「二十四の瞳」が常時上映され、レトロな町並みや趣のある看板、展示品の端々から映画の世界観や当時の面影を垣間見ることができる。
とりわけ岬に立つ文教場は、廃校となった木造校舎に昔ながらの机や椅子、オルガンがそのまま配されており、映画ファンはもちろん、映画を知らない人でも童心に戻れる空間。子どもの頃の記憶や思い出を懐かしみながら、ノスタルジックな校舎をのんびりと散策したい。
ほかにも『Cafeシネマクラブ』で、揚げパンや冷凍みかん、アルマイトの食器が懐かしい「給食セット」890円を味わったり、絣の着物(500円)に着替えてそぞろ歩きをしたりするのも「二十四の瞳映画村」ならではの愉しみ。小豆島名物の佃煮やオリーブ製品が豊富にそろう土産店もあるので、最後に立ち寄るのをお忘れなく。
1日2回の干潮の時だけあらわれる砂の道『エンジェルロード』。『大切な人と手を繋いで渡ると、願いが叶う』というウワサが広がり、恋人の聖地として、瀬戸内の縁結びスポットとして、全国から多くのカップルが訪れている。余島から見渡すエンジェルロード、島の景色も見物。自然が作り出す、つかの間の奇跡を大切な人と辿りたい。
小豆島の雄大な自然を体感するなら『寒霞渓』へ。東西7km、 南北4kmに及ぶ大渓谷で、1300万年前の火山活動によって堆積した岩石が、幾重の地殻変動や風雨の浸食により、断崖や奇岩群を形成したという。山頂の駐車場まで車で行くことができるが、ロープウェイから眺める渓谷美も圧巻。山麓にある『こううん駅』からの約5分間、目の前の岩壁をすり抜けるように通過していく大迫力の空中散歩に、思わず息を飲む。
山頂の展望台からは、瀬戸内海やはるか彼方に四国の山々を望む大パノラマが眼下に広がる。山桜や新緑が美しい春や夏、赤・黄色のグラデーションで染まる秋、風情ある雪景色が広がる冬と、いつ訪れても力強い自然の景観に圧倒される。清々しい空気と眺望に心身をリフレッシュしたら、レストランでひと息ついたり、幸せ祈願のかわら投げ(1組200円)をしたり、山頂ならではの愉しみも満喫しよう。
燃えるような真っ赤な太陽が、海・山を赤やオレンジ、金色に染めながら瀬戸内海に沈んでいく小豆島の夕暮れ。どこか儚げで郷愁を誘う自然のショーを眺めていると、今日1日の島旅のハイライトが次々と浮かんでくる。
場所は、土庄港から続く県道26号線を北上した小高い丘。知る人ぞ知る穴場の夕陽鑑賞スポットで心を落ち着かせ、自然と対峙したい。
(2019年8月時点の情報です)